2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

二十代でエンタメの正解にたどり着いてしまった人のエンターテインメントのかたちの変遷:新井素子と冨樫義博は素晴らしいのはなし

というわけで、いまふたたび新井素子の話をしてしまうが(大好きなので……)、十代、二十代にして「エンターテインメントの何たるか」を知り、提示してしまえた「天才たち」が、そののち、夢見るときを過ぎても(もちろんご本人たちにとっては現実そのものに…

2010年の「1979年」と2024年の「1979年」:普通の日記

というわけで私は、最近またしても時間の「ずれ」というものの認識のあいまいさについてほとほとこまりはてている。 短く書く。ほんとうに短く書く。つまり僕がさいきん、とても悲しがっていること、それは、「過去の僕よりも、僕は“過去”という概念を楽しめ…

小津安二郎とヤン・シュヴァンクマイエルと“I am Alice ! “な中年たち:『ボーはおそれている』(2023)感想

朝、まぶしくて目を覚ました。 で、テレビをつけた。すると、アマゾンプライムの宣伝が目に飛び込んできた。「どうせ有料でっしゃろ?」とおもいつつページを開くと、『ボーはおそれている』(2023)が、はじまった。ので、私は、朝っぱらから優雅に(?)そ…

水を怖がる男の子と、けんじくんの話:海辺の町

つまり、俺はそこでは息ができないが、”彼”はそこでも息ができるということだ。 菊池は沿岸沿いに住んでいる。 俺はその近くの住宅街にある汚いアパートの二階に、両親と一緒に住んでいる。 菊池の家には、小さい頃一度遊びに行ったことがある。小学生の時、…

喫茶店嫌いの記:普通の日記

好きです、喫茶店。(…………) はじめから矛盾しているが、これはそういう矛盾の記なので仕方がない。喫茶店は好きだけど嫌いだ。理由は、落ち着かないからである。 これは、もう、三島のユッキーいうところの『感受性の過剰』というのですべてが説明できてし…

生きてゐる石川達三、生きてゐる小市民:石川達三を読む

なぜ、今、石川達三なのか? しかし、とりあえず、石川達三である。 石川達三といえば?『金環蝕』。『生きてゐる兵隊』。『蒼氓』。これ以上思いつかない。『青春の蹉跌』…… なぜ、今、石川達三なのか。 この現代において、少し心ある人(?)ならば、伊丹…